ローソン石:詳細とその他の情報
ローソン石とは
ローソン石(Lawsonite)は、ケイ酸塩鉱物の一種であり、特に造山運動によって生成された変成岩中に特徴的に産出します。
化学組成はCaAl2(SiO3)2(OH)2・H2Oで表され、カルシウム、アルミニウム、ケイ素、酸素、水素から構成されています。
その名前は、19世紀にアメリカの地質学者であるアンドリュー・ローソン(Andrew Lawson)にちなんで名付けられました。
結晶学的特徴
結晶系と構造
ローソン石は斜方晶系に属し、その結晶構造は比較的複雑です。
主成分であるケイ素は四面体(SiO4)を形成し、これらがアルミニウムやカルシウム、水分子などと組み合わさって、独特の結晶格子を形成しています。
この構造により、ローソン石は比較的高い硬度(モース硬度で6~6.5)と、劈開性(特定の方向に割れやすい性質)を示します。
外観と色
ローソン石の結晶は、一般的に短柱状または板状の形態をとります。
色は、無色透明から白色、淡い青色、灰色、さらには淡いピンク色を呈することがあります。
特に、青色を呈するものは「ブルーローソン石」と呼ばれることもあり、その美しさからコレクターに人気があります。
光沢はガラス光沢から樹脂光沢です。
生成環境と産状
変成作用
ローソン石は、主に広域変成作用、特に低~中温・高圧の条件で生成されます。
これは、プレートテクトニクスにおける沈み込み帯などで、堆積岩が地殻深部へ沈み込む際に経験する環境に相当します。
このような環境では、元々含まれていた鉱物が再結晶化し、ローソン石が新たに形成されます。
共存鉱物
ローソン石は、その生成条件から、他の変成鉱物と共産することが多いです。
代表的な共存鉱物としては、藍閃石(Glaucophane)、角閃石(Amphibole)、白雲母(Muscovite)、石英(Quartz)、柘榴石(Garnet)などが挙げられます。
これらの共存鉱物の組み合わせや量比は、変成作用の圧力・温度条件を知る上で重要な手がかりとなります。
産出地
ローソン石は世界中の造山帯で発見されています。
特に有名な産地としては、イタリアのエルバ島、アメリカのカリフォルニア州、日本の(例:山梨県、新潟県など)などが挙げられます。
これらの地域では、ローソン石を含む変成岩が露頭として観察されたり、鉱床として採掘されたりすることがあります。
ローソン石の識別と性質
比重と硬度
ローソン石の比重は、おおよそ2.6~2.7程度です。
前述の通り、モース硬度は6~6.5であり、比較的硬い鉱物と言えます。
劈開と断口
ローソン石は、{110}面に完全な劈開を持ちます。これは、結晶の特定の面に沿ってきれいに割れる性質です。
断口は貝殻状から不平坦状を示すことがあります。
条痕
ローソン石を擦った際の条痕(粉末の色)は、白色です。
熱分析
ローソン石は加熱すると、まず結晶水が放出されて無水物となり、さらに高温になると分解します。
この熱的性質は、鉱物同定の際に利用されることがあります。
光学特性
ローソン石は、二軸性の鉱物であり、屈折率は比較的高くなっています。
複屈折も存在し、偏光顕微鏡下での観察において特徴的な光学像を示します。
ローソン石の用途と研究
岩石学的指標
ローソン石は、その生成条件から、変成岩の成因や過去の地殻変動を理解するための重要な指標鉱物として利用されます。
ローソン石の存在は、その岩石が比較的低い温度と高い圧力下で生成されたことを示唆します。
地球化学的研究
ローソン石の化学組成や同位体比は、地球の物質循環やマントル・地殻の進化に関する研究にも応用されています。
宝飾品としての利用
透明度が高く、美しい青色を呈するローソン石は、稀に宝飾品として加工されることもあります。
しかし、その産出量が限られていることや、加工の難しさから、広く一般的に流通しているわけではありません。
コレクターズアイテムとしての価値が高いと言えます。
鉱物学・地質学研究
ローソン石は、その特徴的な生成環境と物性から、現在でも鉱物学者や地質学者によって盛んに研究されています。
新しい産地の発見や、より詳細な物性・構造解析に関する研究が進められています。
まとめ
ローソン石は、地球のダイナミックな活動、特に造山運動の産物として生成される興味深い鉱物です。
その結晶学的特徴、生成環境、そして岩石学的な重要性から、地質学分野において不可欠な鉱物の一つと言えます。
美しい青色を呈するものは、鉱物愛好家にとっても魅力的な存在であり、その研究と発見は、地球の歴史を解き明かす一助となっています。
