トルコ石 (飯田孝一 宝石のほんシリーズvol.3)解説
トルコ石 (飯田孝一 宝石のほんシリーズvol.3)口コミ
ターコイズについての書籍が非常に少ない状況にあって、とても貴重な本です。
専門的な内容を一般的な読者に興味が持てるようにうまく構成していて、人類とターコイズの歴史、産出地ごとのサンプル、科学的な説明、類似鉱物や模造品、のように広く紹介しています。
本書を良いと感じるのは次の3点です。(1)よくあるアクセサリーカタログではなく宝石本体(鉱物)を解説してること、(2)米国の有名鉱山を特別に紹介することなく世界各国で産出したターコイズを掲載していること、(3)フルカラー印刷で写真をふんだんに添えて説明していること。
文章は一般の人にもわかりやすいように注意が払われています。しかし、III:トルコ石の化学、の章では「銅鉱床中」や「珪化」のような用語、粗面岩のような他の鉱物の名前は、深く理解しようと努めると難しさもありました。
自分が入手した個体は、他のレビュアが書いている印刷の色移りは特にみられませんでした。
紙は厚めで、繰り返しの閲覧にも耐えられそうに思います。
ターコイズについての本はなかなか少ないのでこれは良き本です。
トルコ石の基本が学べると思います。
価格も安く、ページも薄めなので、さらっと読んで終わりかと思いきや、内容も充実していて、読み応えのある大変良い本でした。トルコ石のみに範囲を絞っているところがいいです。分厚くて立派な鉱物本でも個々の石の情報は少ないことがわりと多いのですが、この本ではトルコ石に関する歴史・性状・科学的な成り立ち・産地による違い・合成石・模造石・鑑別と1種類の石にこんな広く深い世界があるのかと思い知らせてくれます。また、この本が刊行されるまでに分析が間に合わず詳細が解明されないという加工処理方法の紹介などのコラムもあり、今なお、トルコ石が注目されている石だということを感じました。きれいな写真も多く、鉱物愛好家なら見ていて楽しい本であると同時に、科学的関心のある人にも十分知識欲を満たす本だと思います。
惜しむらくは、印刷仕上げの問題なのか、多くのページで片側の文字がもう片側のページに写ってしまったり、写真の色がもう片側のページに色写りしてしまっています。うっすらレベルなので、慣れれば気にならなくなりますが、せっかく内容素晴らしく、写真もきれいなだけにもったいなく感じます。その点がなければ、星5つです。