宝石の歴史 (知の再発見双書 127)解説
宝石の歴史 (知の再発見双書 127)口コミ
アジア方面から運ばれてくる神秘的な美しい石―本書は、宝石に関する通史というよりも、
ヨーロッパの視点からみた宝石観や、石の捉えられ方などが書かれている。
南アの鉱山なども開発されていなかった時代、宝石は専らインドなど、わずかな国々でしかとれない貴重品で、
産地国がアジア、しかも数少ないとあれば、貴重なだけでなく、東洋の神秘でもあった。
どの石に価値を置くかも、時代や国によってさまざまであったことがわかる。
後半では、有名な石(多くは巨大なものだ)を紹介するとともに、近代以降のダイヤモンド熱について詳しく述べる。
南アフリカに、ゴールドラッシュよろしく人々が殺到し、巨大ダイヤモンドが採掘され、
「ダイヤモンドは永遠の輝き」のコピーで売る―今に続くダイヤの君臨の源泉をたどることができる。
古代から現代に至る原石、アクセサリー、王冠などの豊富な絵・写真つき。
宝石の生い立ちから人間の欲望と宝石の歴史や、宝石産地の現状までわかりやすくて面白い本です。宝石にまつわる逸話や伝説なども書かれています。宝石に係わる重要人物ももれなくおさえています。
そそられるタイトルと美しい表紙に期待します。
しかし、内容は割と薄い感じです。原題は『ダイヤモンドと貴石』、したがって、ダイヤ、エメラルド、ルビー、サファイアの四大貴石以外のものは一切出てきません。宝石の文化的通史が提示されているのではなく、以上4種について、歴史的背景やエピソードが書かれています。紀元前からのダイヤの谷の伝説、17世紀のカリスマ宝石商、タヴェルニエの項目など、面白い話はたくさんあるのですが、情報にムラがあって物足りない。プリニウスとか、項目があってもよさそうなのに、ありません。また、タヴェルニエが行ったのはインドだと繰り返し書いてあるのに、会った相手が「モンゴル皇帝」と書いてあるような、信じられない誤訳があります(他の場所ではムガル帝国に言及されているのに)。
図版は素晴らしいです。中世の絵なども美しいですが、石自体の写真が圧倒的です。カリナンはもちろん、リージェントやコーイヌール、さらにはコルテスが持っていたエメラルド「イザベル女王」、ルイ14世の大サファイアなど、知らなかった大宝石の写真が掲載されていいます。
内容は興味深いけど文章量が少なく、深く掘り下げる域に達していない、一方図版は高レベル、というのは、この「知の再発見」シリーズに共通する特徴でもあると思います。多くを求めずビジュアルを楽しみたいときには良いシリーズです。
大方は他の本と同じ既述だが、ダイヤモンドの章などで、
新しく知る点もあり。カラー写真が多い点も評価。
教科書には載ってない、宝石の絡む戦争など、大変ためになりました。購入してよかったです。カラーで挿絵も多く、読みやすかったです。
Patrick Voillotの『Diamants et pierres precieuses』(1997年)の翻訳。
ダイヤモンドを中心に、エメラルド。サファイア、ルビーなど宝石類の採掘、加工、装飾品の歴史を紹介したもの。
多数の図版や写真がカラーで組み入れられており、見ているだけでも楽しい一冊だ。
宝石の「歴史」がわかるところがおもしろい。インドでの古代のダイヤモンド採掘、ミャンマーでずっと昔から採掘されつづけてきたピジョン・ブラッドと呼ばれるルビーのこと、南アフリカで次々と発見された大ダイヤモンドたち。
どれもわくわくするような内容で、なおかつ美しい。
夢の広がる本であった。
ダイヤモンド、エメラルド、ルビー、サファイアの4種類の宝石について
伝承であったり、由来であったり、カットや流通などのあれこれを図版とともに紹介する本。
図版の豊富な「知の再発見」双書シリーズだけに、宝石を扱うこの本は非常に相性が良いです。
美しい宝石の写真がふんだんに掲載されています。
残念なのは先行レビューにもある通り、上記4種類の宝石以外はオミットされていること。
誕生石の紹介とか期待していたので、肩透かしを食いました。