天然石

ダトー石

ダトー石 (Datolite) の詳細・その他

概要

ダトー石は、カルシウムとホウ素のケイ酸塩鉱物です。化学組成は CaB(SiO4)(OH) で表されます。その名前は、ギリシャ語で「与える」を意味する “datom” に由来し、この鉱物が他の鉱物と共生して産出することが多いためと言われています。独特の結晶構造と美しい色合いから、鉱物コレクターの間で人気があります。

物理的・化学的特徴

化学組成と結晶構造

ダトー石の化学組成は Ca2B2(SiO4)2(OH)2 とも表記され、カルシウム、ホウ素、ケイ素、酸素、水素から構成されています。結晶系は単斜晶系で、しばしば球状、粒状、または柱状の集合体を形成します。結晶は、透明から半透明で、ガラス光沢を有します。

色と透明度

ダトー石の最も一般的な色は、白色から乳白色ですが、不純物の影響により、淡黄色、淡緑色、淡桃色、さらには青色を呈することもあります。稀に、鮮やかな赤色のダトー石も発見されており、これらは特に珍重されます。透明度は、透明なものから半透明、不透明なものまで様々です。

硬度と比重

モース硬度は5.0~5.5であり、比較的脆い鉱物です。比重は2.9~3.0程度です。

劈開と断口

完全な{110}劈開を持ち、破断面は貝殻状から不平坦状を示します。

産状と産地

生成環境

ダトー石は、主に熱水鉱床接触変成岩中に生成されます。しばしば、方解石、石英、緑簾石、沸石類などの鉱物と共生しています。火山岩の割れ目や空洞にも産出することがあります。

主要な産地

世界各地で産出しますが、特に有名な産地としては、

  • アメリカ合衆国(ミシガン州、ニューハンプシャー州、カリフォルニア州など)
  • カナダ(オンタリオ州など)
  • メキシコ
  • イタリア(ピエモンテ州など)
  • ノルウェー
  • ロシア
  • 中国

などが挙げられます。特にアメリカ合衆国ミシガン州のケウィーノー半島で産出される、青色を呈するダトー石は、“Datolite-Keweenaw” として知られています。

鉱物としての価値と利用

宝石としての利用

ダトー石は、その美しい色合いや透明度から、カボションカットファセットカットが施され、宝飾品として利用されることがあります。特に、鮮やかな色合いや内包物の少ない高品質なものは、コレクターズアイテムとして高い価値を持ちます。ただし、その硬度の低さから、日常的な装飾品としてはやや不向きな面もあります。

鉱物標本としての価値

ダトー石は、その独特な結晶形態や色彩、そして共生鉱物との組み合わせから、鉱物標本として非常に人気があります。特に、良好な状態の大型結晶や、珍しい色合いの標本は、鉱物愛好家の間で高値で取引されます。

その他の利用

現在のところ、ダトー石が工業的に大規模に利用されている例は稀です。しかし、ホウ素を含有することから、将来的にはホウ素源としての可能性が研究されるかもしれません。

鑑別と類似鉱物

鑑別上の注意点

ダトー石は、しばしば方解石石英オリゴクレースなどの白色または淡色の鉱物と誤認されることがあります。鑑別には、硬度、光沢、劈開、そして化学的性質などを総合的に判断する必要があります。特に、ダトー石はホウ素を含むため、ホウ素の検出反応が陽性となります。

類似鉱物

  • 方解石 (Calcite): 硬度が低く、劈開が菱面体である点で異なります。
  • 石英 (Quartz): 貝殻状断口を持ち、硬度が高い点で異なります。
  • オリゴクレース (Oligoclase): 長石の一種であり、双晶模様が見られることがあります。
  • アラン石 (Allanite): 色合いが似ていることがありますが、組成が大きく異なります。

まとめ

ダトー石は、その美しい外観と多様な産状から、鉱物学的に興味深い鉱物です。コレクターにとっては、その希少性や色彩の豊かさから魅力的な存在であり、宝飾品としても一部で利用されています。生成条件や共生鉱物についても研究が進んでおり、今後もその魅力は多くの人々を惹きつけることでしょう。