天然石

鉄橄欖石

鉱物:鉄橄欖石(てつかんらんせき)の詳細・その他

概要

鉄橄欖石(てつかんらんせき)は、カンラン石グループに属する鉱物であり、化学式は(Mg,Fe)₂SiO₄で表されます。これは、マグネシウム(Mg)と鉄(Fe)が固溶体を形成していることを示しており、純粋なマグネシウムカンラン石(フォステライト)と純粋な鉄カンラン石(フェアイト)の中間的な組成を持つ鉱物です。

カンラン石グループは、地殻やマントルを構成する主要な造岩鉱物の一つであり、特に鉄橄欖石は、地殻深部やマントル起源の火成岩、変成岩中に広く産出します。その特徴的な橄欖色(かんらんしょく)は、鉄分の量によって濃淡が変化します。鉄分が多いほど緑色が濃くなり、マグネシウムが多いほど淡い色になります。

化学組成と物性

化学組成

鉄橄欖石の化学式は(Mg,Fe)₂SiO₄で、マグネシウムと鉄の比率によってその性質が大きく影響を受けます。マグネシウムが支配的な場合(Mgリッチ)、フォステライト(Fo)と呼ばれ、純粋な鉄橄欖石(Feリッチ)はフェアイト(Fa)と呼ばれます。鉄橄欖石は、このFoとFaの固溶体であり、その組成はFoₓFa₁₀₀₋ₓと表記されます。

物理的性質

  • **色:** 淡緑色から濃緑色、黄緑色、褐色など。鉄分の量によって変化します。
  • **条痕:** 白色。
  • **光沢:** ガラス光沢。
  • **透明度:** 透明から半透明、不透明。
  • **劈開:** ほとんどない。
  • **断口:** 貝殻状断口または不平坦状断口。
  • **硬度:** 6.5~7(モース硬度)。
  • **比重:** 3.22~3.66(鉄分の増加とともに増加)。
  • **結晶系:** 斜方晶系。
  • **結晶形:** 厚板状、柱状、双晶。多くは粒状集合体として産出します。

生成環境と産状

鉄橄欖石は、主に以下の環境で生成されます。

火成岩

玄武岩、斑糲岩(はんれいがん)、かんらん岩などの塩基性および超塩基性火成岩の主要な構成鉱物として産出します。特に、マントル由来のマグマが上昇して固まった岩石に多く含まれます。

変成岩

石灰岩やドロマイトなどの炭酸塩岩が、マグマの貫入などによって高温で接触変成作用を受けたスカルン鉱物としても産出します。この場合、橄欖石の代わりに角閃石や輝石などが生成されることもありますが、高温条件では鉄橄欖石が安定します。

隕石

石質隕石の主要な構成鉱物としても知られています。地球外の物質を研究する上で重要な鉱物です。

鉱物学的特徴と識別

鉄橄欖石の識別は、その色、硬度、比重、および産状によって行われます。特に、鉄橄欖石グループの鉱物は、マグネシウムと鉄の比率によって連続的に性質が変化するため、正確な組成分析にはX線分析などの科学的な手法が必要となる場合があります。

類似鉱物

鉄橄欖石は、他のカンラン石グループの鉱物、例えば純粋なマグネシウムカンラン石(フォステライト)や、より鉄分の多いフェアイト、あるいはその他のカンラン石グループに属する鉱物と区別する必要があります。また、緑色を呈する鉱物として、緑色チャート、緑簾石(りょくれんせき)、エピドート、蛇紋石(じゃもんせき)などと混同されることもありますが、硬度や劈開、比重などの違いで識別可能です。

応用と研究

地質学・地球科学

鉄橄欖石は、地球のマントルを構成する主要な鉱物の一つであるため、その組成や構造の研究は、地球内部の組成やダイナミクスを理解する上で極めて重要です。また、火成岩や変成岩の生成条件を推定するための指標としても利用されます。

材料科学

一部のカンラン石は、耐火材料や研磨材として利用されることがあります。鉄橄欖石の安定性や融点といった性質は、これらの用途において考慮されます。

宇宙科学

隕石に含まれる鉄橄欖石の研究は、太陽系初期の物質の形成過程や、惑星の形成史を解明する手がかりとなります。

まとめ

鉄橄欖石は、地球の内部構造を理解する上で不可欠な造岩鉱物であり、その組成の多様性は、形成された地質環境の履歴を物語っています。火成岩、変成岩、そして地球外の物質である隕石に至るまで、幅広い産状で存在し、地質学、地球化学、宇宙科学といった多岐にわたる分野で研究対象となっています。その特徴的な色合いと硬度、比重は、現場での識別を助ける一方で、精密な分析は、より詳細な地球の理解へと繋がります。